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青蛙 おまえもペンキ 塗り立てか /芥川龍之介
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ぼくに、光は届かなかった
今年の七夕は満月で、日食も近いってことで
なんかのパワーがとても強いそうで、ネガイゴトが叶いやすいとキミは言った

ぼくのとこはあいにく天気が悪く
月は、ほんの一瞬顔を出しただけだった
それもまるいかどうかもわからないほど、ぼんやりした姿で。

でもね、それでいいんだ
ぼくには、叶えたいネガイゴトって思いつかない

七夕に願うほどの強いネガイはぼくにない


母が死んだときもね
一緒にこの痛みを持ってってくれ、とか、
知ってる?持ってってもらえばいいんだよ、て話し。
ぼくんとこの地方の考え方かもしれないけど、病気みたいなの、そういう風に言うの。
でもぼくは彼女にそんな願いはしなかった
ありがとうとも、何かのキモチ一つ、伝えたいとも思わなかったのに
そんなのないでしょ?
生前ですら、お願いなんて、ちっちゃい頃からしたことないのに、できるかっての。
おねがいしてみたかったぁ、なんてキモチもない

いいんだ
ぼくは人にねだりたいほどのものって、あったためしはないんだ
物欲がないというより、はなから諦めて育ったというほうが正しいかな
自分に価値を置けないから、自分が望むのはおこがましいて思うんだよ
そんな言い方したらかわいそうなこどもみたいだけど
ちがうよ
人に対してお願いするキモチがはなからないだけ
頼るより、自己完結してたってだけ
ね。人に分けるより自分ひとりで持っていたいの。悩みも痛みも。ケチなのかな。
たとえば飢えたら、ちょうだいするより、飢え死にするほうが、いい。
そういう人種なの。


それよりは神様のほうが、おねがいしやすい
神様って目に見えないから、
コイツ前、あんな弱いこと、言ってたんだよな、みたいな風に思われてる!
なんて勝手に自分で思わないでいいじゃない?

神にねがうほどの、願いって・・・
まぁ~~~~~10年くらい前、一回したけど。
もうどうにもこうにもなんなくなったときにね

神だとか七夕へのねがいってそういう、
口に出せないネガイなんだよ
ちがう?
むじゃきにおねがいごとするこどもと一緒に空を見上げ
叶うはずがないって自分で笑ってる、胸の奥のキモチを
七夕の日にこっそり、日の目を見させてやるだけだよ、そじゃない?

でも、モアイが戻れることのない故郷を臨んでる(ようにぼくには見える)のと同じように
叶わない夢を思っておとなが七夕の夜空を見上げてるってのを
思い浮かべると
いいなぁ、て思うよ
そういうのが、ロマンだとぼくは思う


Jがさ、ぼくは七夕に縁があると言うんだ
前に住んでいたとこが七夕で有名だったし
今の近くに、天の川ってのが流れててね、電車の名前もそれにちなんで
織り姫とか彦星とかいう呼び名があったりするんだ

けどね、ほんとは
ぼくと縁があるのは、パン屋さん。
家に帰ると、前も、今も、パンを焼くにおいがする

パンって好きでもないけど

現実っていうより、ほんとう、てものは、そういうものだとぼくは思う

絶望でも諦念でもない
ぼくは自分の人生に幸せを常に感じられているから
なにも、夢も希望もないっていうのは不幸な事じゃないんだよ

/ナオ


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