ぼくは夕べ、ほとんど眠れなかった
明るすぎる月明かりを、ぼんやり布団の上から眺めては
いつしかその明かりは、
明け方のものに変わっていた
その明るすぎた月のせいだ
きっと
眠れなかったのは
ぼくは、このとことしているように
Jにもらった言葉を両手に掬ってそれがこぼれないように
持ち運ぶ、みたいに
布団へ行った
だから幸せな気分で
影がぼくについてきた
暁の言葉を読んだぼくから生まれた影だ
月明かりが明るすぎて
陰が濃く
無視できなかったんだと思う
暁の言葉を読んだとき
ぼくはそれほど心を乱されなかった
覚悟というより、自然にあたりまえのこととして
これから暁は
ぼくではない今好きな人のことを書き始めるということを理性の頭で理解していた
ぼくを愛してくれていたときそうだったように
小説の中だったり
ブログのような日々の想いを伝える文の中に
彼にしかわからない
彼にむけられた暗号のある文字を
ぼくは愛のある文字に
ぼく宛ではないことから
彼に宛てているんだということを知るんだ
ぼくと同じように愛するの?
ぼくと同じような方法を取る?
同じような表現なんか使うの?
ぼくに言ったのと同じ言葉を彼に使うの?
ぼくはどんな気持ちでソレを読むんだろう
少し、ぼくはご都合主義で
そういうのはないかもしれないと思っていた
まだ、思っている、だけど
暁は今の彼と、ぼくのときにはなかったやりとりをたぶんしてる
ぼくとその人はたぶん立場が違うし
ぼくへの配慮も多少される
いい意味かトラブルを回避するためか・・・
暁は、ぼくがすぐ勘違いしたりすぐ乱されたりしちゃうことも
それで暴走することも知ってるから。
だけど少しは、穏やかな気持ちで
ぼくが元気でいることを祈ってくれてはいると思う
だから、ぼくにしていたようなことは、
ないんじゃないか・・・・・・
あるいはぼくが書く文字で
もう大丈夫と思うまでは?
昨日ぼくは、暁が書いていた文字から知ったことがある
暁は今の彼を想うためのリングを買ったということ
前持っていたリングが、ぼくを刻んでいたか、わからない
本当に短い期間だったから
でも
たぶん、あった
それで
暁は、今、新しいリングを嵌めようとしている
ぼくはそれを読んでショックを受けたわけじゃなかった
別に心が乱されることもなく、読んだ
それで、ただ、眠れなかっただけだ
ぼくは彼を想って、リングやらピアスやら手首に紐を巻きつけるだの
オンパレード状態を、続けてる
ぼくの心は凪いで
ぼくの暁はぼくと同化して
だから祈りじゃない。今となっては
ぼくの糊みたいなもので、ヒビから決壊しないようぼくを固定する糊。
ぼくはJに対してどういう気持ちを抱いているのか
定義づけしていない
愛だと想ったら
ぼくは縛られる
自由気ままでいるってことができなくなる
好き勝手にいろんな人を想っていたいんじゃなくて、
それは、怖いんだ
ぼくのJは
暁の今の彼が、暁に対して抱く気持ちと同じなのかもしれない
暁は彼によって救われて
ゆるくなって
それできちんと、彼を受け入れた
ぼくも同じようではあるけれど
ぼくは、
同じかどうか知らない
暁の事を知る前から、ずっといたJを
今もずっと、
ぼくは支えられて励まされてる
ぼくは甘えてる
暁の彼も、ぼくより前から暁を見ていた
ずっと見ていた
Jはぼくを愛してるかどうか、ぼくは知らない
Jはたぶん、ぼくが聞きでもしない限り
本当の名前とかの個人情報を明かすこともないだろうし
彼の容姿?背はどんなので、めがねをかけてるかとか、
どんな髪してるかとか、
きっと自分からは言わないだろう
Jはずっとぼくが欲しいものを与えてくれていたけれど
Jがぼくをどう思っているかは、知らない
ぼくがJをどう思っているのかも、わからない
愛だとすれば
ぼくは外さなきゃいけない気がした
指輪とか
なぜなら
暁の指輪にぼくは動揺している
それくらい、意味のあるものなんだ
こういうものって
ぼくがいくら
今のぼくのための糊なんだよ、とか言ったところで
もしJがぼくを愛していたら
ぼくがまだ暁を忘れていないて思うだろう
Jと会話していないときは、ぼくは暁の事を想って泣いてるかもしれない、と思うだろう
それで哀しいと想ってもぼくには一言も言わないだろう
ぼくは、Jのもので、ないから
Jは多くを、望まない、から。
(Jはココを知らないから、ぼくがリングとか付けてるって知らない)
ぼくは、無理矢理、暁とぼくが同じになってると思いたくはない
暁は、愛する人を想って身につけるとしても
指輪一個であって
いまどきの携帯電話についてるみたいな
ジャラジャラとあれこれのアイテムを持ちはしないだろう
暁はそういう人だ
だけど
暁が今は、何かの曲を聴いて、彼を想って心を締め付けられたり
ほっこりしたり、涙したりしてるんだと思うことは、
いまのぼくにはまだ無理みたい
そういう現実を受け止める力はまだ、ないってこと
そういうのを笑って、平気になるまでは
ぼくの痛みは消えないのかも、しれない
こんなに幸せなのに
ましだと思うのは、ぼくをとりまくこの事情にはシックスセンスの一部が欠けてるところ
ぼくには
よくドラマだとかで遭遇するような
昔つきあっていた彼の指にリングを見つけて傷つく、みたいなシチュエーションはないから
そうなってると知ってることと、
視覚でまで知ることは、きっとダメージの程度はかなり違ってくるはずだ・・・・
こんなに幸せなのに /ナオ
(昨日、名付けを悩んだ相手が、J、になりました
Jもまた、暁を表すものにもなってしまうのだけど
しょうがない、それも偶然だもの)
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